【勉強会】 『サステナビリティ教育の地平』

【報告者】玉井暁大さん
      東京大学大学院新領域環境学専攻
      サステナビリティ教育WG 前代表
【場所】東京大学本郷キャンパス
    第2本部棟6階 演習室9
【時間】10〜12時


【内容】

本年度サステナビリティ教育WGのキックオフ勉強会として、 環境教育からESDへの歴史的変遷と現状、 またサステナビリティ教育について考える際に 気に留めておくべきいくつかの点について簡単に まとめて報告致します。

【発表内容】

1.日本の環境教育の流れ
戦前の日本教育はドイツの流れを汲むもので、身近なものへの理解から始まるものであった(草木花、動物)。また「もったいない」の価値観が色濃く残っていた。 戦後の教科書を見ていくと

  • 1950年代 資源・森林保護の強調
  • 1970年代 公害問題
  • 1990年代 地球環境問題
80年代を通して公害問題が下火になっていくと環境問題への意識も下火になってしまったところがあり、90年代初は「失われた10年」。後半から地球環境問題への意識が高まる。

2.世界の環境教育
1972年 ストックホルム宣言
UNEP,ストックホルム宣言 第19原則に教育に言及
・すべての世代に対する環境教育…日本では小中学校に偏重
・恵まれない人々にも妥当な配慮を
・マスメディアの影響を明記
1975年 ベオグラード憲章
1977年 トビリシ
日本からはあまり大した人は派遣されず国際社会をがっかりさせた。
1992年 リオ(地球サミット)
1997年 テサロニキ テサロニキ宣言
・画一的な開発モデルに対するアンチテーゼ
・ESDは環境のためのみではなく、貧困撲滅、平和のためにある
2002年 ヨハネスブルク
2005〜2014年 UNDESD
 United Nations Decade for Education for Sustainable Development

3. 様々な学説・見解
@環境教育の3形態 Lucas (1979)
About 環境についての
In    環境の中での
For   環境のための   教育
『環境教育は行動できる市民の育成』が目的

A社会批判的環境教育  フェイン
『環境についての教育』は旧来の価値観を問い直さない。
エンパワーメント:人に行動する力を与えるような教育

行動とは?
BMunroe (2003)
? 直接的な行動
? 直接的な行動のための情報収集や処理
CHungerford and Volk (1990)
行動を促すための変数
  環境への感受性→自分ごとにする→技能
Entry Level → Ownership → Empowerment

(日本の)サステナビリティ教育が抱える問題
  • そもそもサステナブルな社会とは?
    目指すところの見えない教育
  • 自然教育への偏り
  • 生涯教育の整備不良
  • 評価の困難さ
  • 事例はあるが、理論の遅れ
  • コミュニティの狭さ

考慮すべきこと
  • いかに少なく伝えるか…多量の情報はパンクしてしまう
  • いかに関心を呼び込むか
  • いかにエンパワーメントするか

【感想】

サステナビリティ教育を概観する内容でキックオフ勉強会にまさに必要とされていた勉強会でした。今日の報告内容で特に重要だと感じたのはサステナビリティ教育が最終的にエンパワーメントにつながること、ストックホルム宣言の時点では@マスメディアの重要性、A生涯に渡る教育、様々な年齢層の巻き込みが必要性、が確認され、明記されていたことが強く意識に残りました。

サステナビリティ教育WGとしてもエンパワーメントの諸相を考えていく必要(そして面白み!)があると感じると共に、サステナビリティ教育が生涯に渉るものだと頭に残した上で学生、若者、大学がその中で果たしうる役割、位置づけを考えることもおもしろく思われました。

同時サステナビリティ教育の抱える問題として「すべてがサステナビリティ教育に通じる」とのスタンスのもとでどのようにしてアイデンティティを保つのか。