【五月祭特別企画】-私の働き方-

【報告者】佃真衣 東京大学工学部システム創成学科4年
【場所】東京大学本郷キャンパス 法学部26番教室
【実施日】2009年5月30日


【実施内容】

 世界には、問題がたくさんある。貧困、戦争、環境問題…などなど。 そんな問題を解決すること、世界をより良く変えていくことを、仕事にして選んだ人たちがいる。 例えば、ヘルシーなメニューを美味しく味わうことが、飢餓の解決につながる900社を超える企業と霞が関の心を捉えたTFTという取組。 金融から環境問題の解決にアプローチするエコ貯金プロジェクト。 そんなサービスを生み出す彼らの仕事は、とても魅力的だ。 でも、そんな彼らの生き方を自分の将来を考える眼でシビアに見つめたとき、胸には一抹の上安が残る。 自分と、自分の大切な人の幸せを守りつつ、社会問題に取り組んでいく働き方ってあるのか? 本シンポジウムでは、社会起業家、NPO代表、大学教授。3人の素敵なゲストをお迎えして、彼らの働き方と、 [世の中と、自分のためになる働き方]について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


【ゲスト紹介】


【小暮真久氏】
Table For Two International事務局長 Table For Twoとは、直訳すると[二人の食卓]。 先進国の私たちと開発途上国の子どもたちが、 時間と空間を越え食事を分かち合うというコンセプトです。 先進国と貧困国の食の問題を一挙に解決する活動です。

  • ウエブサイト
  • ・著書『『20円』で世界をつなぐ仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)


【土谷和之氏】
  • (株)三菱総合研究所研究員
  • (特活)まちづくり情報センターかながわ(通称アリスセンター)理事
  • 国際青年環境NGO A SEED JAPAN理事
シンクタンクに勤務しながら、A SEED JAPANにて、自分たちの預金がどのように使われるかを考えて金融機関を選択することを市民に呼びかけ、 また金融機関にも環境配慮行動を提言する[エコ貯金プロジェクト]に従事。 『おカネで世界を変える方法』も執筆されています。
  • ・共著、共編 『おカネで世界を変える30の方法』 (田中優+A SEED JAPANエコ貯金プロジェクト、合同出版)
  • 『おカネが変われば世界が変わる〜市民が創るNPOバンク〜』 (田中優(未来バンク理事長)編著)

      【堀井秀之氏】
      東京大学工学系大学院社会基盤学教授 [社会問題の解決には,工学のみならず,法学、経済学、社会学、心理学など分野を超えた研究者の協同と知の活用が上可欠である]という考えの下、 特に最近の研究テーマとして[ソーシャル・エンタープライズの問題解決メカニズム]や[社会問題解決の設計・影響分析・評価]に取り組まれております。
      • 著書『問題解決のための[社会技術]―分野を超えた知の協働』(中央公論新社)



      シンポジウムレポート


      【1:ゲスト紹介】

      まず、三人のゲストスピーチからシンポジウムがはじまりました。

      はじめに、司会も務めて下さった堀井先生の研究紹介は 海外と日本のNPOの組織・問題解決プロセスを比較整理した ものでした。 構造力学から転向された経験、アカデミックな立場から 社会に貢献するアプローチの具体的な形など、 研究者からのチャレンジのヒントが沢山詰まっていました。

      次に小暮さんから学生時代からNPO「Table for Two」の 事務局長を務める今まで、のお話がありました。 モヒカン頭で(?!)人工心肺の研究をしていた学生時代。 コンサルタントとして働くなかで、出会った社会起業家という存在と「Table for Two」。 ユーモラスに、冷静に、熱い志と具体的な軌跡が語られました。

      土谷さんからは、 NGO「A Seed Japan」エコ貯金プロジェクト理事 サラリーマンとの両立を伺いました。 ひょんなご縁をきっかけに始めた活動と、 お金の流れを変えることで世界をかえるエコ貯金プロジェクトの目指す所。 自分の貯金が兵器開発の資金になる、 そんなところを可視化して変えていく試みを克目して聞き入っていました。

      続いて、お三方が働き方において重視するポイントをダイアグラムを使って伺いました。
      • お金(儲かるか)
      • 名誉(尊敬されるか)
      • 地位(偉くなれるか)
      • 同僚(知的好奇心を得られるか)
      • 生活(ワークライフバランス)
      それぞれ、重視することは違えど、 無欲なボランティアとしてしか「善いこと」が成立しないのではなく 現実的な個人の価値観が 「善いこと」と併存しうることを感じられたのではないかと思います。

      【2:テーマトーク】

      小暮さんからは社会起業家というプロフェッショナリズム、 土谷さんからは企業とNGOの協働関係についての問題提起がありました。 まだまだ不安定で、身を立てていけるか不確実な 職業としての社会起業家の現状、 企業とNGOの力関係の実際。 インターン生の将来を考えたときに一緒に悩みに悩んだこと、 銀行に駆け引きを仕掛けていく戦略。 具体的なエピソードから 日本の民間ソーシャルセクターの発展途上な有様が伝わってきました。

      【3:ディスカッションタイム】

      ・NPOでしかできないことー行政との関係ではどうか? ・ミッションとしくみと、参画の問題 ーTFTに参加したいけど、その仕組みに乗りにくい場合はどうしたらいい? など会場から興味深い問題提起がありました。 それぞれ一言ずつゲストスピーカーのお言葉を頂いた後 ネットワーキングタイム。 その場に集った70名、ゲストや周りの人と思い思いに語り合っていました。

      【ひとこと】

      ここでは少ししかご紹介できませんでしたが 素敵なゲストの方々に興味を持った方は、
      • 堀井教授 著書「問題解決のための社会技術」
      • 小暮氏 著書「20円で世界をつなぐ仕事」  
      • 土谷氏 共著「おカネが変われば世界が変わる〜市民が創るNPOバンク〜」
      などをぜひご覧下さい。 あなたの「私の働き方」と、 それにつながる学び方の参考になれば幸いです。 (Mai)